A型事業所で働いたら障害年金は支給停止になってしまうのか
1 A型事業所での就労
障害年金をもらっている方がA型事業所で働いたというだけでは、障害年金は支給停止にはなりません。
A型事業所は、周囲からの支援や配慮が前提とされている施設です。
単にA型事業所で働いただけでは、障害の状態が障害等級に該当しない程度に回復したとはいえません。
また、A型事業所の賃金は、一般的にはあまり高額ではありませんので、A型事業所で働いただけですぐ障害年金が支給停止になると、生活が困窮するおそれがあります。
一般企業の一般雇用や障害者雇用で働きながらでも障害年金の受給を受けている方もいらっしゃいますので、就労の有無だけで支給停止と判断されるわけではありません。
ただし、障害の状態がA型事業所での就労が可能な程度に改善したという事情の変更がありますので、診断書の記載内容等を含めて総合的に判断された結果、障害年金が支給停止になってしまうことはあります。
2 障害年金が支給停止になる場合
障害年金の対象となっていた症状が改善して、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったのであれば、障害年金は支給停止になります。
単にA型事業所で働いたことだけで支給停止になるわけではありませんが、心身の障害の状態を、その他の事情も含めて審査し、申請時や前回更新時よりも障害の程度が軽くなったと判断されたときには、等級が変更されたり、等級に該当しないとして支給停止になったりします。
障害年金受給者の障害の状態は、通常は更新のタイミングで提出された診断書をもとに判断されています。
申請時や前回の更新時と状況が変わっている場合には、更新の際に注意が必要です。
また、20歳前傷病の場合には、所得制限がありますので、障害年金以外の所得の額によっては、障害年金の一部または全部が支給停止されることがあります。
A型事業所での所得だけで制限額に達した場合のみでなく、不動産収入や配当、不動産譲渡所得などその他の所得との合計が所得制限額に達してしまった場合でも、障害年金は支給停止になりますので20歳前傷病の場合には注意が必要です。
3 専門家への相談の必要
A型事業所で働き始めたなどで就労状況が変わった場合には、障害年金の更新の際に支給停止にならないよう慎重に診断書を作成しなければならないことがあります。
障害年金を受給している方の就労状況が変わった場合には、弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談ください。