神経発達症で障害年金が受け取れる場合

文責:所長 弁護士 山森一男

最終更新日:2025年05月01日

1 神経発達症とは

 神経発達症とは、いわゆる発達障害のことになります。

 アメリカ精神医学会の定める基準である「DSM-5」の日本語訳では、神経発達症が正式な呼称として使われており、今後は神経発達症の名称が使われる場面が増えていくと考えられます。

 なお、厳密には、「DSM-5」で神経発達症とされた傷病と、「発達障害者支援法」の発達障害ですと、神経発達症の方が範囲が広いですが、ほぼ同じ範囲をカバーする概念です。

2 神経発達症で障害年金が受け取れる場合

 神経発達症(発達障害)は、脳の働きに特性があることにより、社会的不適応を起こしている状態です。

 これにより、他人の介助がないと日常生活を送れなかったり、日常生活に著しい制限あったり、労働に著しい制限を受ける場合には、障害年金の対象となります。

 厚生労働省が、障害年金の等級に該当する障害の程度をまとめた認定要領においては、発達障害について、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの」を1級、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの」を2級、「発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限をうけるもの」を3級とするとしています。

3 どのような場合に障害年金の等級が認定されるか

 障害年金の等級の判断には、診断書の内容が重要になります。

 特に、日常生活能力の欄は重視されますので、診断書を作成してもらう医師に、日常生活の状況や、どのようなことができないかを正確に伝えておく必要があります。

 また、一般企業で就労している場合でも、仕事内容が単純な反復業務に限られているか、常に誰かに管理、指導してもらう必要があるか、他の従業員と意思疎通が困難な状況にあるかどうか等によっては、2級以上に該当すると判断される可能性もあります。

 そういった点についても、診断書に反映してもらったり、資料を補充したりすることが大切です。

PageTop